EDコラム

前立腺肥大症とEDの密接な関係

EDは、それだけでも男性にとって深刻な問題となるものです。加えて、男性ならではの他の病気とも密接な関係があります。そのひとつが、前立腺肥大症です。前立腺肥大症とEDは共に加齢によって発症リスクが高まるものですが、かつては関連性がないと考えられていました。近年では、密接な関係があることがわかっています。
ここでは、前立腺肥大症とEDとの関係についてご紹介します。

前立腺の役割

まずは、前立腺の役割について簡単にご紹介します。
前立腺は、膀胱の下に張り付くようにして存在している3cm~5cmほどの大きさの器官です。膀胱から伸びる尿道は、前立腺を貫くようにして走っています。
前立腺からは、精液の5%~10%を占める前立腺液が分泌されます。この前立腺液は精子に栄養を与え、活性化を促します。精子に影響を与える生殖器官のひとつであることから、男性のみに存在します。

前立腺肥大症とは?

2_toilet-1542514_1920前立腺肥大症はその名のとおり、前立腺が肥大化する病気です。そのメカニズムには、男性ホルモンが関係しています。

男性ホルモンであるテストステロンは、前立腺に到達すると5αリダクターゼの作用によってジヒドロテストステロンという物質に変化します。このジヒドロテストステロンが前立腺の尿道周辺、移行領域と呼ばれる場所にある細胞を増殖させ、前立腺を肥大化させるのです。

前立腺肥大症の症状には、3つの段階があります。

最初の段階は、膀胱刺激期です。前立腺が大きくなったことで膀胱を刺激し、頻尿となります。

次の段階は、残尿発生期です。膀胱がさらに刺激されることで頻尿の症状が重くなり、同時に尿道が圧迫されることから尿の出にくさを自覚するようになります。尿を出し切ることが難しくなるため、残尿が発生します。

最後の段階は、慢性尿閉期です。前立腺がさらに大きくなり、ほとんど尿が出なくなるまでに尿道が圧迫されます。これが長く続くと尿が腎臓に逆流し、水腎症も併発します。

前立腺肥大症とEDの関係

3_love-163690_1280前立腺肥大症とEDとの間には、深い関係性があります。

例えば、前立腺肥大症の治療の副作用でEDが発症する可能性があります。前立腺肥大症の治療のひとつに手術療法があり、経尿道的前立腺切除術が行われます。この手術では電気治療の必要があり、これによって勃起機能が低下する可能性があるとされています。また、手術による精神的なダメージもあり、これもEDに影響を与えているとされています。

このように、前立腺肥大症の治療がEDのリスクファクターとなるケースもありますが、逆にEDの治療によって前立腺肥大症が改善されるケースもあります。

正常な勃起は、環状グアノシン一リン酸という物質が平滑筋を弛緩させ、男性器の血流量が増えることで起こります。EDの場合、この環状グアノシン一リン酸を分解する作用があるPDE-5という物質の働きが活発であるため、うまく勃起することができません。そのため、PDE-5の働きを阻害する薬が治療に用いられます。

この環状グアノシン一リン酸は男性器の平滑筋だけでなく、前立腺の平滑筋も弛緩させる作用があります。そのため、EDの治療によって環状グアノシン一リン酸が正常に作用するようになると、前立腺による膀胱や尿道の圧迫が改善され、前立腺肥大症の症状もよくなるのです。この関係は、前立腺肥大症の薬であるザルティアと、ED治療薬であるシアリスの有効成分が共にタダラフィルであることからも理解しやすいものといえます。

上述のように、前立腺肥大症の治療薬であるザルティアと、ED治療薬であるシアリスは同じくタダラフィルを有効成分とする薬です。なお、ザルティアは前立腺肥大症を適応として保険が適用されますが、シアリスは保険適用がありません。これは、EDが生命に関わる病気ではなく、保険適用となる条件をクリアしていないことに起因しています。前立腺肥大症の治療で処方されたザルティアをEDの治療目的で使用することは禁止されているため、その点には注意が必要です。