EDコラム

テストステロンが原因?ED(勃起不全)とテストステロンの関係性とは?

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テストステロンは、男性らしい身体を作り、性機能にも深く関わる男性ホルモンです。このテストステロンの減少がEDを引き起こす原因という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?今回はテストステロンとEDの関係性を徹底的に解説します。

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テストステロンとEDの関係性

テストステロンは強固な筋肉や骨の成熟を促して男性らしい身体を作るホルモンです。二次性徴の発来や性欲にも関与しています。そんなテストステロンとEDにはどのような関係性があるのでしょうか?詳しく見てみましょう。

そもそもなぜEDを発症するのか?

正常な勃起が生じるには、性的な興奮を感じることが必須です。男性は性的な刺激を受けると、血管の壁や神経などからNO(一酸化窒素)と呼ばれる物質が放出されるようになります。このNOは陰茎の血管を広げたり、筋肉を柔らかくしたりするcGMPという物質の産生を促す作用があるのです。その結果、陰茎には多くの血液が流れ込み、筋肉が柔らかくなることで膨張しやすくなるのです。こうして生じる陰茎の硬化と膨張が勃起の正体です。

EDは、この一連の反応に異常が生じることによって引き起こされます。EDは原因によって「器質性」・「心因性」・「混合性」に分類されているのが一般的です。

「器質性」とは、勃起に関わる血管や神経に何らかの異常があるもの。一方、「心因性」はストレスや疲れなどから勃起に必要な性的興奮を感じられないもの、緊張によって勃起を司る副交感神経の働きを抑えられているもの、などが挙げられます。そして、「混合性」は「器質性」と「心因性」が合わさったタイプのものです。

このように、EDは幅広い心身の不調によって引き起こされるもので、その原因は多岐に渡ります。 (※1、2,3)

テストステロン低下がEDを引き起こすメカニズム

では、テストステロンの減少は勃起機能にどのような影響を与えてEDを引き起こすのでしょうか?実はテストステロンの減少は次のように「器質性」・「心因性」双方のEDの原因となるのです。

<器質性ED>
テストステロンの作用は多岐に渡ります。性機能の発達。健康的な精子の産生。筋肉、骨、体毛などの発達。男性が「男性らしくある」ために必要なホルモンと考えられます。また、近年では動脈硬化やメタボリックシンドロームを抑制する作用があるとの報告も多いです。

動脈硬化は血管の壁を傷つけ、性的興奮を感じた際に生じるNOの分泌を低下させる原因になります。また、メタボリックシンドロームは動脈硬化を発症しやすいだけでなく、神経障害を引き起こす糖尿病の発症リスクを高めるものです。糖尿病を発症すると、勃起に必要な神経にダメージが加わることでEDを引き起こすことがあります。 (※2)

<心因性ED>
上述したようにテストステロンには多くの作用があり、性欲の維持も重要な作用の一つとされています。このため、テストステロンが減少すると性的な刺激を受けても勃起に必要な興奮が産まれず、遂にはEDになることも。

また、テストステロンの減少は抑うつ気分を引き起こすことも知られています。気分障害は交感神経の過度な緊張などを引き起こして正常な勃起を妨げたり、性行為自体に消極的になったりし、心因性EDの引き金となることも少なくありません。 (※2)

テストステロンとEDの関係を疑問視する声も

テストステロンの減少は心身に様々な影響を与えます。EDを引き起こすメカニズムも様々です。しかし、日本泌尿器科学会によれば、テストステロンとEDの関連は薄いとの見解も紹介されています。世界的にも有名なマサチューセッツ男性加齢研究もではテストステロンの量とEDの発症率には関連がないとの見解を展開。

テストステロンが勃起に関与する血管や神経を健康的に保ち、性欲を維持するのは確かなことです。しかし、テストステロンの減少がEDに直結するか否かは未だ不明な点が多いと考えてよいでしょう。 (※3)

テストステロン補充療法とは

テストステロン補充療法とは、不足したテストステロンを補充する治療です。日本では主に筋肉注射による投与が行われています。投与量や投与間隔などは医療機関によって異なりますが、通常は2週間おきに125~250㎎程度のホルモン剤が投与されます。 (※4)

血管性ED患者には効果あり

様々な研究によって、テストステロン補充療法は勃起機能と性欲を改善することが分かっています。

しかし、全てのED患者さんに効果があるわけではありません。テストステロンが勃起機能に与える影響を調べた大規模な研究では、動脈硬化など血管の異常が原因のEDのみに効果があるとされています。 (※3)

シルデナフィルとの併用が行われることも

ED治療の第一選択はバイアグラ(シルデナフィル)などのED治療薬です。これらの治療薬は陰茎の血管や筋肉を広げたり柔らかくしたりするcGMPの分解を抑制する働きがあります。そのため、ED治療薬を内服すると勃起が生じやすくなり、長い時間勃起した状態を維持することが可能となるのです。

このようなED治療薬の効果はテストステロン補充療法との併用によって高まることが知られています。このため、テストステロンの減少がEDの原因であると考えられる患者の場合でも、テストステロン補充療法と共にED治療薬を併用するのが一般的です。 (※3、4)

テストステロン補充療法の注意点

テストステロン補充療法は、テストステロンの減少が原因のED患者に有用とされています。しかし、テストステロンは強力なホルモン剤でもあるので思わぬ副作用を招くことも少なくありません。テストステロン補充療法には次のような注意点があります。

前立腺がん患者には禁忌

テストステロンは、前立腺がんのがん細胞を増殖されることが分かっています。前立腺がんの治療の一つに抗男性ホルモン療法があるように、テストステロンの増加は前立腺がんを悪化させる原因なのです。このため、前立腺がん患者やがん化する恐れのある高度な前立腺肥大症患者にテストステロン療法は禁忌とされています。

また、テストステロン療法を開始するときには、前立腺がんの腫瘍マーカー「PSA」値の測定、直腸診による前立腺の触診などを受けるのが望ましいです。そして治療を継続する場合にも定期的な検査が必要となります。 (※3、5)

効果は時間とともに減少

テストステロン補充療法によるED改善効果は時間と共に減少していく傾向にあります。 どのような原因かは明確に解明されていません。しかし、血中のテストステロン濃度が高くなりすぎると動脈硬化を抑えるHDLコレステロール値が低くなることがあり、EDを招く原因になります。

治療は漫然とホルモン剤を投与するだけでなく、少なくとも3カ月に一度は血中テストステロン濃度と治療効果をチェックするようにしましょう。 (※6)

テストステロンを増やすための方法

テストステロンの分泌量は年齢を重ねるごとに徐々に減少していくものです。しかし、好ましくない生活習慣を送っていると若い人でも、テストステロンが減少することもあります。
テストステロンの年齢相応の分泌量を維持するには次のような点に注意しましょう。

適度な運動

テストステロンは適度な運動を続けることで分泌量が安定します。また、肥満はテストステロンの分泌を抑えることも分かっており、運動は肥満を予防することもできるため正に一石二鳥です。

ただし、長時間のサイクリングなど精巣に断続的な刺激が加わったり、熱がこもったりする運動は精子の質や量に異常を引き起こします。肥満を予防するためにも、運動はワーキングなどの有酸素運動を取り入れるようにしましょう。

食生活の改善

上述の通り、肥満はテストステロンの分泌を抑えます。肥満を予防するためにも適正カロリーを守ったバランスよい食生活を送るようにしましょう。

また、ダイエットのためにコレステロールは控えがちになりますが、コレステロールはテストステロンの大切な原料。極端に摂取を控えるのではなく、バランスよく多くの栄養素を摂るのがポイントです。

質の高い睡眠

良質な睡眠はテストステロンの分泌を促します。特に、徹夜や極端な睡眠時間の短縮を繰り返すと、低下したテストステロン量が元に戻りにくくなるとの報告もあるため注意が必要です。規則正しく良質な睡眠が確保できる生活リズムを作りましょう。

ストレス

ストレスもテストステロン分泌に大きな影響を与えます。日頃から疲れや悩みを抱え込まない生活を心がけましょう。特に物事への成功体験がテストステロンの分泌を促すとの報告もありますので、何事も前向きに挑戦する姿勢が大切です。 (※7)

EDとテストステロンの関係性がないとは言い切れない!EDと感じたら試しに対策を

男性ホルモンの一種であるテストステロンは加齢や生活の乱れなどによって分泌量が低下します。テストステロンが減少すると心身に様々な影響を与えますが、EDもその中の一つ。

現在はテストステロンとEDの関係性は明らかになっていない部分も多く、今後の研究が待たれる状況です。しかしテストステロンが少ない場合は補充療法を行うことでEDが改善すると考えられており、テストステロンとEDが全く無関係であると言い切るのは難しいでしょう。もしEDが気になったら、まずは今回ご紹介した生活習慣を心がけてテストステロンの分泌を維持するようにしましょう。

イースト駅前クリニックでは電話での相談も受け付けています。EDについて、医師とのご相談を希望するかたは気軽にお電話ください。

参考URL

※1)日本医療機能評価機構、ED診療ガイドライン 2012年版
https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0131/G0000436/0014
※2)昭和学士会誌第76巻第2号(p133-139,2016)、男性機能障害
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jshowaunivsoc/76/2/76_133/_pdf/-char/ja
※3)日本泌尿器科学会、ED治療ガイドライン第3版
https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/26_ed_v3.pdf
※4)順天堂大学医学部附属順天堂医院泌尿器科、メンズヘルス外来
https://juntendo-urology.jp/examination/mens_health/
※5)北海道大学大学院医学研究院腎泌尿器外科学教室、前立腺がん
http://toms.med.hokudai.ac.jp/patient/bladder/bladder03/
※6)日本泌尿器科学会、加齢男性性腺機能低下症候群診療手引き
https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/30_loh_syndrome.pdf
※7)日本Men’s Health医学会、テストステロン
http://mens-health.jp/pdf/News_Letter_Vol10.pdf