EDコラム

EDの治療方法にはどのような種類があるか、EDの原因と絡めて徹底解説

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EDの治療方法は多種多様です。調査によると、日本人ED患者は約1,130万人で、成人男性の4人に1人がEDに該当します。20代や30代で発症するケースも少なくなく、EDはとても身近な疾患です。患者増加に対応して、様々な治療法が開発されてきました。今回は、各治療方法の特徴について、EDの原因と絡めて解説します。(※1)

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そもそもEDとは

「ED診療ガイドライン」によると、ED(Erectile Dysfunction:勃起障害)とは「満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、または維持できない状態が持続または再発すること」です。

症状としては、「全く勃起しない」場合だけではなく「勃起しても十分に硬くならない」「短時間で萎えてしまう」「一度萎えると再勃起が難しい」という場合もあり、タイプや程度は個人ごとに様々です。 (※1、2)

正常な勃起のメカニズム

正常な場合、性的な刺激を受けた脳が勃起を促す信号を発し、神経を介して陰茎に指示を伝達します。それを受けて、陰茎海綿体(いんけいかいめんたい)の動脈が拡がり、血流が一気に増加することで勃起が起こります。

この時に主役となるのがcGMPという分子です。陰茎海綿体内のcGMP濃度が上がることで血管が拡張し、大量の血液が流れ込んで膨張が起こります。それと同時に、cGMPを分解するPDE5という分子も活性化します。この2種類の分子のバランスによって適度な勃起が維持され、不要になれば陰茎が収縮する仕組みになっているのです。

EDの症状が起こる仕組み

勃起に至る流れのどこかに不具合があると、EDが発症されます。勃起を促す信号がうまく陰茎に伝わらなかったり、陰茎に十分な量の血液が流れ込まなかったりといった場合です。

EDの原因別タイプ1:心因性ED

ストレス、不安、うつなどの心理的な要因で起こるEDです。どちらかといえば20~40代の若い世代に多く見られます。

過労や睡眠不足、家庭不和や経済的なプレッシャー、性生活に関するパートナーの暴言といったことがきっかけになります。心配事のせいで気が削がれたり、自分の体に引け目を感じたりすると、自然な興奮と性行為への集中が妨げられます。また、一度勃起に失敗すると、それ自体がストレスや不安の種となり、悪循環を起こしやすくなります。

このように現実的に理解できる要因(現実心因)以外にも、幼児期の虐待や大きな事件・事故に巻き込まれたことによるトラウマなど無意識的な要因(深層心因)を考える場合もあります。 (※3)

EDの原因別タイプ2:器質性ED

身体的な病気や障害により起こるEDで、大きく分けて5つの要因が考えられます。

加齢 加齢により、血管や神経にはどうしても不具合が起きてきます。特に動脈硬化によって血管が拡張しにくくなると、EDのリスクが高まります。
生活習慣病 糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病は、血管や神経の障害を引き起こし、加齢による動脈硬化の進行を速めます。
神経系の障害 勃起は脳から陰茎までの神経伝達によって引き起こされるため、関係する神経系のどこかに不具合があるとEDが発症する場合があります。
手術や外傷 手術や外傷によって大事な血管や神経が損傷してしまいEDが引き起こされることがあります。
泌尿器系の疾患 前立腺肥大症、前立腺炎、精巣静脈瘤などの泌尿器系の疾患が勃起の正常なメカニズムを侵害する場合があります。また、排尿困難があると陰茎に対して不安を感じて過敏になり、ひいては心因性のEDにつながるかもしれません。

(※4)

EDの原因別タイプ3:薬剤性ED

薬剤の副作用によって引き起こされるEDです。次のような薬剤がEDの原因となりえます。

中枢神経に作用するもの 解熱・消炎鎮痛剤、抗うつ薬、抗精神病薬など
末梢神経に作用するもの 鎮けい薬(胃などのけいれんを抑える薬)など
循環器系に作用するもの 不整脈治療薬、降圧剤など
消化管に作用するもの 消化性潰瘍治療薬など

(※5)

ED治療の種類

・ED治療薬
・血管外科手術
・プロステーシス
・ED1000

代表的な治療方法は次の4つです。以下、それぞれの治療法について投薬、外科治療に分けてご紹介します。

最もポピュラーな治療方法、ED治療薬

ED治療薬の種類

現在、日本の医療機関で処方されているED治療薬は3種類で、概要は以下の通りです。

薬剤名 効果の持続時間 参考価格
バイアグラ 5時間程度 1,500円/50㎎
レビトラ 10mgで5時間程度
20mgで7〜10時間程度
1,500円/10㎎
2,000円/20㎎
シアリス 20mgで30〜36時間 2,000円/20㎎

ED治療薬が効果をもたらす仕組み

1.PDE 5の働きを阻害

2.cGMPの濃度が上昇

3.ED改善の効果が発現

上述の通り、勃起を引き起こす主役はcGMPで、それに拮抗する存在がPDE5です。ED治療薬に含まれる有効成分は、PDE 5の働きを阻害してcGMPの分解を抑制し、cGMPの血管内濃度を上げることでEDの症状をカバーします。

器質的(身体的)な要因で神経伝達や血管拡張が不十分でも、cGMPの増加がそれを補います。心理的な要因で興奮が抑制されがちな場合でも、陰茎が膨張しやすければ、心理面にもプラスの効果が期待できるのです。 (※1)

外科的な治療方法

EDの原因や状況によっては、外科的な治療方法が適していることもあります。

血管外科手術

器質性EDで、陰茎付近の血管に問題がある場合(血管性ED)に有効な手術です。勃起時には、陰茎海綿体の平滑筋が弛緩して動脈から血流が流れ込む一方で、海綿体の静脈には血液の流出閉鎖機能が働き、これにより勃起が維持されます。動脈か静脈に問題があると、勃起が起こりにくかったり維持されにくかったりします。

静脈に問題がある場合、陰茎海綿体から血液が余分に流出してしまい、陰茎膨張に必要な血圧が得られません。動脈の方には問題がない若い患者さんに対し、深陰茎背静脈切除や陰茎脚結紮術を行って、血液の流出を減らします。

動脈に問題がある場合は、海綿体への血液流入が少なくなっています。主に内陰部動脈、陰茎背動脈、海綿体動脈などの障害で起こります。静脈の方には問題がなく、動脈硬化が見られない若い患者さんに対し、下腹壁動脈を用いたバイパス手術を行って血液流入を改善します。

プロステーシス

陰茎海綿体の中に専用のシリコン製インプラントを移植する手術です。外からの操作で自由に折り曲げられるものやポンプ式で膨らませられるものなど、いくつかのタイプがあります。

不可逆的な治療法であり、自然な勃起を取り戻すことは二度とできなくなるため、他の治療法がすべて失敗に終わった方や、持病などにより行えなかった器質性EDの患者さんに限って適用されます。費用は70万円程度です。

手術が成功すれば、ほぼ100%の患者さんが性交を行え、一度埋め込めばいつでも勃起状態にできるのが利点です。ただし、感染や故障などが起これば摘出しなければなりません。

ED1000

ED1000は機器を使って症状を改善する治療法です。陰茎に直に低強度衝撃波を与えて、海綿体の血管を新生(枝分かれ)させ、血流を増やしてEDを治療します。治療薬では効果が出なかった方や、副作用のために治療薬を服用できない方にも適用できる方法です。

陰茎に低強度衝撃波が加わると、その刺激で血管細胞に細胞増殖因子が放出されます。この因子の働きで細胞の増殖が盛んになり、血管から外へ向かって新しい血管が枝分かれして増加。その結果、海綿体に流入できる血液の量が増え、勃起しやすい体質に改善されるのです。

自分に合ったEDの治療方法を選ぶためには、正しい知識が必要!

以上のように、ED治療法には様々なものが存在します。EDの原因も多岐にわたり、それぞれに適した治療法や注意すべきポイントがあります。したがって、自分のEDがどのタイプに属し、どんな原因で起こっているのかを把握したうえで、自分に合った治療方法を選択することが不可欠。

今回ご紹介した内容は基礎知識としては有用ですが、個々の症例を把握するにはまったく不十分で、原因と治療法を特定するには専門家の判断が必要です。自己判断せず、専門のクリニックに相談してみましょう。

参考URL

※1)日本新薬株式会社「ED(勃起不全とは?)」
(https://www.ed-care-support.jp/abouted/about.php)
※2)日本性機能学会/日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン第3版」
(http://www.urol.or.jp/info/guideline/data/26_ed_v3.pdf)
※3)バイエル薬品株式会社「心理的な要因で起こるED(心因性ED)」
(https://ed-netclinic.com/about_ed/type/organic.php#title-link-block)
※4)バイエル製薬株式会社「血管や神経の障害が原因で起こるED(器質性ED)」
(https://ed-netclinic.com/about_ed/type/psychogenesis.php#age)
※5)バイエル薬品株式会社「ある特定の薬剤を服用して起こるED(薬剤性ED)」
(https://ed-netclinic.com/about_ed/type/drug.php#title-link-block)