ミノキシジル

【ミノキシジルの作用機序】メカニズムや効かない場合の原因・対策

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脱毛症は男女問わず多くの人が悩まされる頭髪トラブルの一つ。そんな脱毛症改善に高い効果を発揮するミノキシジルは世界中で広く用いられています。しかし、脱毛症の種類によってはミノキシジルが効かないことも。そこで、ミノキシジルの作用機序や効かない場合の対処法などを詳しく解説します。

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ミノキシジルの作用機序

高い発毛効果があるとされているミノキシジルですが、実際のところ明確な作用機序は解明されていません。また、ミノキシジルは日本では外用薬として販売されていますが、海外では内服薬も流通しています。

気軽にインターネット通販などを通じて、海外から様々な薬剤を入手できるようになった昨今、国内でもミノキシジルの内服薬を服用する人もいると考えられます。しかし、ミノキシジルの内服には注意が必要であり、インターネットで購入して使用することはおすすめできません。注意点も含めて、ミノキシジルの内服薬と外用薬の作用機序について詳しく見てみましょう。

外用した場合の作用機序

現在、ミノキシジルには大きく分けて以下の3つの作用機序があると考えられています。

・頭皮の血管を拡張させて毛根の血流を増やす
・毛根の細胞成長因子産生を促す
・髪の毛の元となる毛母細胞が死滅するのを防いで成長期を伸ばす

つまり、ミノキシジルを頭皮に直接塗ると、細胞を成長させる因子が産生されます。それによって毛根で育毛が促されるのです。さらに頭皮の血管が拡張し頭皮の血流が改善、より多くの栄養が行き渡るため育毛促進がより一層進みます。それに加え、毛根の細胞が死んで抜け落ちる髪の毛が少なくなるため、健康的な髪の毛が生えやすくなるのです。

外薬ではこのような効果はミノキシジルを使用した部位にのみ現れますので、全身の体毛が濃くなるなどの副作用は少ないとされています。

内服した場合の作用機序

日本ではミノキシジルの内服薬は承認されておらず、海外でも難治性高血圧の治療薬などとして用いられることはありますが、脱毛症の治療薬として承認されている国は2019年現在ではありません。

元来、ミノキシジルは高血圧の治療薬として開発が勧められてきました。ミノキシジルには血管を拡張させる効果があるため、内服することで全身の血管を拡張させて血圧を下げる作用があるのでミノキシジルを内服すると大きく血圧低下が引き起こされるので、持病や体質など、服用される方によっては意識消失など重篤な副作用を引き起こす可能性があります。

また、内服すると毛根の細胞成長因子の産生を促す作用と成長期を伸ばす作用が全身に及ぶため、全身の多毛症を生じる可能性もあります。

さらに、外用薬よりも脱毛症に対する効果は低いと考えられているため、副作用によるデメリットと薬の効果によるメリットに釣り合いが取れないのが現状です。このような背景から、ミノキシジルの内服薬は日本では認可されていないのです。 (※1、2)

ミノキシジルの作用点とヘアサイクルの関係性

上で述べたように、ミノキシジルには大きく分けて3つの作用機序があります。それぞれの作用は健康的な髪の毛を維持する「ヘアサイクル」の各段階に大きな作用をもたらしていると考えられています。

ヘアサイクルとは

「ヘアサイクル」とは、髪の毛が生えてから抜け落ち、また新たな髪の毛が生えるまでのサイクルのことです。健康な髪の毛は、成長期・退行期・休止期と呼ばれる3つのサイクルを繰り返しています。脱毛症は、このような成長期・後退期・休止期からなるヘアサイクルのどこかに異常が生じることによって発症します。

髪の毛の約90%は成長期であるとされているため、当然ながら成長期に髪の毛が十分な太さや長さに成長しない場合、そもそも成長期の長さが短い場合には健康的な髪の毛は少なくなります。また、退行期や休止期の長さが長くなると成長期にある髪の毛の割合が減ります。このような背景から全体的な頭髪のボリュームは低下してしまうのです。

ミノキシジルの作用点

ミノキシジルの3つの作用には、ヘアサイクルを正常な状態に導く働きがあります。ミノキシジルによる頭皮の血行改善作用や成長因子の産生アップ作用は、成長期に必要な毛根への栄養素や成長因子を補給する効果が。また、毛母細胞の死滅を予防する作用は毛母細胞の細胞分裂を正常な状態に保つため、より長い成長期を維持し、退行期への突入を遅らせることも期待できるのです。 (※3、4)

ミノキシジルが効かない?ミノキシジルは壮年性脱毛症に効果あり

発毛に効果が期待できるミノキシジルですが、全ての脱毛症に有効というわけではありません。具体的には壮年性脱毛症に大きな効果を発揮します。ここではミノキシジルが壮年性脱毛症に作用するメカニズムをご紹介します。

壮年性脱毛症のメカニズム

壮年性脱毛症とは、20~60歳前後の人に多く見られる脱毛症です。多くは前頭部や頭頂部を中心にヘアサイクルの成長期が短くなることが原因で、髪の毛が薄くなります。成長期が短くなる原因は諸説ありますが、ジヒドロテストステロンと呼ばれる男性ホルモンの一種によって毛母細胞の成長が妨げられることが主な原因と考えられています。

壮年性脱毛症にミノキシジルはどのように作用する?

壮年性脱毛症は、ヘアサイクルの成長期が短くなることが原因で引き起こされる脱毛症です。ミノキシジルは、上で述べたように成長期を長く保ち、退行期突入までの時間を伸ばす作用があるため、壮年性脱毛症に対して高い治療効果があると考えられています。 (※2)

ミノキシジルはフィナステリドとの併用がおすすめ

現在、脱毛症の治療薬として使用されている薬にはミノキシジルの他にもフィナステリドなど全く作用機序が異なるものもあります。脱毛症の治療では、これらの様々な作用機序を持つ薬剤を、 併用することが勧められています。

フィナステリドの作用機序

フィナステリドは、ジヒドロテストステロンの産生を抑制する効果を持ちます。そもそもジヒドロテストステロンとは、5α-還元酵素の働きによってテストステロンが還元されて生成されるものです。フィナステリドは、このテストステロンを還元する酵素の働きを阻害する効果を持つため、結果としてジヒドロテストステロンの産生量が減少するのです。

ジヒドロテストステロンは毛母細胞の成長を阻害する作用を持つことから、脱毛症の大きな原因の一つと考えられています。このため、フィナステリドによってジヒドロテストステロンの産生量が減ると、脱毛症も改善していくと考えられているのです。

ミノキシジルとフィナステリドの併用がおすすめの理由

ミノキシジルは、正常な育毛を促してヘアサイクルの成長期を伸ばす作用があります。一方、フィナステリドは脱毛症の原因物質であるジヒドロテストステロンの産生量を減少させることで脱毛症を改善する効果が期待できる治療薬です。

そのため、これら2つの作用を持つ治療薬を併用することで、脱毛症の原因となる物質の排除と正常な髪の毛の生育が同時に促されることになります。その結果、より高い治療効果を得ることができると考えられているのです。

推奨度の高いミノキシジルの作用機序を理解!AGA治療に活かしていこう!

ミノキシジルは頭皮に直接塗るタイプの脱毛症治療薬です。髪の毛の生育を促し、頭皮の状態を整える作用もあります。

しかし、脱毛症の中にはミノキシジルが効かないタイプもあるので注意が必要です。また、異なる作用機序の治療薬と併用することがミノキシジルを使用する場合には勧められています

こうしたことから、治療を開始する際には自己判断で薬を使用せず、医師から適切なアドバイスを受けるようにしましょう。

参考URL

※1)日薬理誌「ミノキシジルの発毛作用について」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/119/3/119_3_167/_pdf
※2)日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf
※3)日本皮膚科学会「男性型脱毛症の治療はどうしますか?」
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa11/q05.html
※4)Fragrance journal 28(2)「ヘアサイクル退行期に誘導されるアポトーシスのin vitroでの再現 (特集 育毛メカニズムの最新の研究と育毛剤の開発)」
https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000002-I5280552-00