AGA治療・治療薬について

【デュタステリドの作用機序】フィナステリドと治療薬アボルブの違いも合わせて解説

最終更新日:

デュタステリドは、2016年に販売が開始された新たなAGA治療薬「ザガーロ」の有効成分です。従来は前立腺肥大症の治療薬として用いられてきましたが、これまでの治療薬では効かなかったタイプのAGAを改善する作用も持つためAGAの治療薬として利用されるようになりました。デュタステリドの作用機序と従来のAGA治療薬との相違点などについて詳しく解説します。

目次※知りたい情報をクリック

デュタステリドの作用機序を解説

デュタステリドは新しいタイプのAGA治療薬「ザガーロ」の有効成分です。2016年に国内での販売が開始され、従来の治療薬では目立った効果がみられなかった患者にも効果が期待できます。では、デュタステリドはどのようなメカニズムでAGAなどの脱毛症を改善するのでしょうか?詳しくみてきましょう。

AGAの発症メカニズムとは?

まずAGAのメカニズムをみていきましょう。AGAとは「男性型脱毛症」と呼ばれる脱毛症の一種で、主に前頭部や頭頂部を中心に頭髪が薄くなる病気です。30~60代に多くみられますが、その明確な発症メカニズムは解明されていません。原因には諸説ありますが、男性ホルモンの一種である「ジビドロテストステロン」が大きく関与していると考えられています。

ジヒドロテストステロンとは、5α-還元酵素の作用によってテストステロンが変化し産生されるものです。ジヒドロテストステロンは頭皮の毛母細胞の成長を妨げる作用を持ちます。このため、ジヒドロテストステロンの産生量が多い人は抜け毛が増え、細くコシのない髪の毛が多くなるため薄毛になってしまうのです。

デュタステリドはどこに作用するの?

デュタステリドには、5α-還元酵素の働きを弱める作用があります。このため、テストステロンからジヒドロテストステロンへの変換が抑制され、結果としてAGA改善につながるのです。

また、5α-還元酵素にはⅠ型とⅡ型があります。Ⅰ型の酵素が結合する受容体は主に側頭部や後頭部に多く存在し、Ⅱ型の受容体は前頭部や側頭部に多く存在します。デュタステリドはⅠ型・Ⅱ型双方の酵素の働きを抑えるため、AGAに幅広く効果を発揮すると考えられているのです。 (※1)

減少作用によるジヒドロテストステロン(DHT)の変化率

AGA患者912名を対象にした研究では、一日にデュタステリド0.5mgの服用を24週間続けると平均して頭皮中のジヒドロテストステロンは約半量となり、血液中のジヒドロテストステロンに至っては90%も減少したとの報告もなされています。一方、一日にデュタステリドを0.1mgのみ24週間服用した人は、頭皮中のジヒドロテストステロンは40%が減少し、血液中も65%の減少に止まりました。

このような結果から、デュタステリドは高用量を長い期間服用することによってより高い効果を期待することができると考えられています。 (※1)

類薬フィナステリドとデュタステリドの作用機序は何が違う?

AGA治療薬には様々な種類があります。その中でも、デュタステリドと同じく「5α-還元酵素」の働きを抑える「フィナステリド」は世界中で多くの患者に使用されています。フィナステリドは2005年に日本国内で販売が開始。現在ではジェネリック薬も発売されています。デュタステリドより10年以上前から使用されているフィナステリドですが、「5α-還元酵素」の働きを弱める作用を持つという点でデュタステリドとは同じタイプの治療薬と言えるでしょう。

フィナステリドの作用機序

フィナステリドもデュタステリドと同じく、「5α-還元酵素」の働きを抑制する薬剤です。「5α-還元酵素」が上手く働かなくなることでジヒドロテストステロンの産生量が減少するため、AGAを改善に導く効果があると考えられています。

2つの他の相違点

一見するとデュタステリドとフィナステリドは同一の作用を持つように思えます。しかし、デュタステリドとフィナステリドは働きを抑える「5α-還元酵素」の種類が異なるのです。

デュタステリドはⅠ型・Ⅱ型の「5α-還元酵素」に作用しますが、フィナステリドはⅡ型のみにしか作用しません。Ⅱ型「5α-還元酵素」の受容体が多く存在する前頭部や側頭部はAGAの好発部位であるため、フィナステリドは多くのAGA患者を改善に導いてきました。しかし、Ⅰ型の受容体が多く存在する頭頂部や後頭部の薄毛には効果が薄く、内服を継続しても満足いく効果が得られない人が多かったのも事実です。そこでⅠ型・Ⅱ型ともに作用を発揮するデュタステリドが新たにAGA治療薬の仲間入りを果たしたのです。 (※2)

前立腺肥大症の治療薬「アボルブ」と「ザガーロ」の作用機序は何が違う?

現在、AGA治療薬としてデュタステリドを含む薬剤は「ザガーロ」という商品名で販売されています。しかし、デュタステリドは当初からAGA治療薬として開発されたわけではありません。デュタステリドは前立腺肥大症の治療薬として開発・販売されてきたものなのです。前立腺肥大症に対して用いられるデュタステリドを有効成分とする治療薬は「アボルブ」という商品名で2009年から販売が開始されています。

アボルブの作用機序

アボルブはザガーロと同様に、ジヒドロテストステロンの産生を抑制する作用を持つ薬です。前立腺には頭皮と同じように、ジヒドロテストステロンが結合する受容体が多く存在すると考えられています。ジヒドロテストステロンは前立腺の受容体に作用すると容積を増大させる作用があることが分かっており、前立腺肥大症を引き起こすのです。

このため、アボルブはジヒドロテストステロンを減少させることによって前立腺肥大症を改善する効果が期待できるというわけです。

効果効能における両者の相違点

同じ有効成分デュタステリドを含むザガーロとアボルブ。その両者の違いはデュタステリドの含有量にあります。日本国内で流通しているザガーロは0.1㎎または0.5㎎のデュタステリドを含みますが、アボルブは0.5mgのものしかありません。

また、AGA治療は基本的に自由診療なのでザガーロは全額自己負担で購入する必要があります。一方、アボルブは前立腺肥大症という病気の治療に使用するため、薬代や処方料などは保険適応となります。 (※3)

従来の治療薬で効果を実感できなかった方におすすめのデュタステリド

これまでのAGA治療薬より幅広い効果が期待できるとして販売が開始されたザガーロ。AGAの原因であるジヒドロテストステロンの産生を抑制する効果があります。従来のAGA治療薬フィナステリドと基本的な作用機序は同じですが、より多くの部位に働きかけることができます。また、デュタステリドは前立腺肥大症の治療薬としても使用されていますが、有効成分の含有量や処方にかかる費用などに違いがあります。

AGAは適切な治療を行えば改善が見込める脱毛症です。薄毛に悩んだらまずは専門のクリニックを受診し、薄毛の原因を特定した上で自分に合った治療を受けるようにしましょう。

参考URL

※1)グラクソ・スミスクラウン「サガーロカプセル 製造販売承認申請書添付書類」
http://www.pmda.go.jp/drugs/2015/P20151001001/340278000_22700AMX01012_G100_1.pdf
※2)日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf
※3)グラクソ・スミスクラウン「アボルブ」
https://gskpro.com/ja-jp/products-info/avolve/qa/#Q2