AGAコラム

AGAの原因のひとつは、男性ホルモン!?

脱毛症には、いくつかの種類があります。その中でも、現在、日本で1,200万人以上の人々を悩ませている脱毛症がAGA(男性型脱毛症)です。
AGAは、前頭部から頭頂部にかけて脱毛を引き起こします。器質的な疾患ではなくとも、その人の外観の印象を大きく左右するものであることから、社会的に悪影響を及ぼし、生活の質を大きく低下させます。
そんなAGAを予防・改善するには、まず原因を知ることが大切です。AGAの原因には、男性ホルモンが深く関与していました。
今回は、AGAと男性ホルモンについて詳しくご紹介します。

ハミルトンによって実証されたAGAと男性ホルモンの関係

1FlickrAGAに男性ホルモンが関与していることが明らかになったのは、今から約70年前のことです。アメリカの解剖学者であるJ・B・ハミルトンによって、はじめて生化学的に実証されました。
男性ホルモンの一部は、男性器の精巣で生産されています。そこでハミルトンは、AGAと男性ホルモンの関連性を立証するべく、思春期前後に去勢した男性に男性ホルモンの一種であるテストステロンの投与を行い、発毛パターンの観察を行いました。
こういった臨床結果から実証されたAGAと男性ホルモンの関係。
現在ではより詳しく研究が進められ、AGAの根本的な原因がジヒドロテストステロンという男性ホルモンであることも分かりました。(※1)

男性ホルモンによるAGAの発症メカニズム

2Flickr代表的な男性ホルモンとしてあげられるのが、テストステロンです。テストステロンは、脳、骨、筋肉、腎、心血管系、精巣、陰茎、前立腺、毛包、皮脂腺、造血細胞、免疫系といった様々な機能に関与しており、私たちが健やかな身体を維持するためには欠かせない物質といえます。
そんなテストステロンが血中で5α還元酵素という物質の影響を受けると、ジヒドロテストステロンへと変換されます。(※2)
ジヒドロテストステロンは、テストステロンよりも働きの強い男性ホルモンの一種です。毛包内の毛乳頭細胞に存在する男性ホルモンレセプターと結合して細胞の核内に入り込み、DNAと結合して生物的な作用を引き起こします。
たとえば、脇毛や髭。これは、ジヒドロテストステロンが脇毛や髭の毛乳頭細胞のホルモンレセプターと結合し、インスリン様成長因子という成長因子が産出されるために引き起こされる現象です。
テストステロンの分泌量は幼少期から上昇していき、20歳代にピークを迎えます。(※3)つまり、テストステロンの分泌量がピークに近づく思春期前後は、ジヒドロテストステロンが生成されやすい時期であるともいえます。思春期前後に脇毛や髭が生えはじめるのも、このためです。
なお、男性ホルモンレセプターは、頭部の毛乳頭細胞にもみられます。とはいえ、頭部すべてではなく、前頭部から頭頂部にかけての毛乳頭細胞に存在しているのが特徴です。
そして、ジヒドロテストステロンが前頭部や頭頂部の毛乳頭細胞の男性ホルモンレセプターと結合すると、脇毛や髭とは違った現象が起こります。脇毛や髭においては発毛が促されるのに対し、前頭部や頭頂部では脱毛症状が引き起こされてしまうのです。
これには、ジヒドロテストステロンが前頭部や頭頂部の毛乳頭細胞と結合した際に産出されるトランスフォーミング増殖因子という成長抑制因子が関与しています。トランスフォーミング増殖因子は脇毛や髭で産出されるインスリン様成長因子とは異なり、毛髪をつくる角化細胞が増えるのを強力に抑制したり、細胞を死滅させる作用を持ちます。
このトランスフォーミング増殖因子による角化細胞の抑制や死滅によって引き起こされる症状こそ、AGAというわけです。
このように、ジヒドロテストステロンは脇毛や髭では発毛を促進するものの、頭頂部においては発毛を抑制し、AGAの症状を引き起こすのが特徴です。
そのため、AGAを予防・改善するには、ジヒドロテストステロンを抑制し、トランスフォーミング増殖因子の産出を防ぐ必要があります。

ジヒドロテストステロンの生成を防ぐには

ジヒドロテストステロンを抑制するためには、テストステロンそのものを抑制するという方法もあります。
しかし、テストステロンは身体の健康維持において必要不可欠な存在です。欠乏すると、男性更年期障害やEDの原因にもなりかねません。
5α還元酵素阻害薬なら、テストステロンをジヒドロテストステロンへと変換させる5α還元酵素のみを阻害し、ジヒドロテストステロンの生成を防ぐことができます。そのため、テストステロンが欠乏することもなく、AGAを予防・改善することが可能です。
AGA治療薬として用いられている5α還元酵素阻害薬には、デュタステリドを有効成分とする「ザガーロ」(※4)、フィナステリドを有効成分とする「プロペシア」などがあります。(※5)
これらの薬はAGA治療を専門に取り扱う皮膚科やクリニックで処方してもらえるため、興味のある人はそういった医療機関に足を運んでみてはいかがでしょうか。

→その他AGAの基本的な情報はこちらからご覧いただけます。

 

関連記事はこちらからご覧いただけます

■AGAの原因である5αリダクターゼ。Ⅰ型とⅡ型の違いって?
■知っておこう!男性ホルモンで薄毛になる場合?

参考記事

※1)男性型脱毛症治療の現状と今後の展望
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/133/2/133_2_78/_pdf

※2)日薬理誌 男性における男性型脱毛症用薬 5 α – 還元酵素 II 型阻害薬 フィナステリド(プロペシア ® 錠 0.2 mg・1 mg)の薬理学的特性と臨床効果
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/127/6/127_6_495/_pdf

※3)大東製薬工業株式会社 テストステロンについて
http://www.daito-p.co.jp/reference/testosterone.html

※4)PMDA ザガーロカプセル
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/249900AM1023_1_05/

※5)PMDA プロペシア錠
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/249900XF1021_2_08/